こんにちは!!Activeの中村です!

今回は高齢者の歩行速度と平均寿命の関係についての論文をみていきたいと思います。

今回の論文

Studenski S, Perera S, Patel K, Rosano C, Faulkner K, Inzitari M, Brach J, Chandler J, Cawthon P, Connor EB, Nevitt M, Visser M, Kritchevsky S, Badinelli S, Harris T, Newman AB, Cauley J, Ferrucci L, Guralnik J. Gait speed and survival in older adults. JAMA. 2011 Jan 5;305(1):50-8.

研究の目的

この研究の目的は、高齢者の歩行速度と生存率の関係を評価することでした。歩行速度が高齢者の生存期間に与える影響を理解することは、臨床的な意思決定や介護計画において重要です​​。

研究デザインと参加者

この研究は、1986年~2000年の間に集められた9つのコホート研究のデータを分析しました。参加者は65歳以上の34,485名でした。参加者の平均年齢は73.5歳、59.6%が女性、79.8%が白人で、平均歩行速度は0.92 m/sでした​​。

研究の方法

歩行速度は、各参加者が通常の速さで歩いた時の時間と距離から計算されました。歩行速度のデータは様々な形式で換算され、一貫性を持たせるために変換公式が用いられました​​。また、参加者の性別、年齢、人種、身長、体重、BMI、喫煙歴、移動補助具の使用、血圧、健康状態の自己申告、過去1年間の入院歴、診断された医学的状態などの追加変数も考慮されました​​。

結果

  • 歩行速度は全ての研究で生存率と関連があることが示されました。10年間の生存率は、歩行速度の範囲に応じて19%から87%まで変動しました。
  • 70歳の男性では平均余命は7~23年、70歳の女性では平均余命10~30年と予測されました。
  • 歩行速度1.0 m/s以上の人は、年齢と性別だけで予想されるよりも長生きする傾向がありました。
  • 歩行速度・年齢・性別を基にした生存率の予測は、他の健康関連要因を多く含む複雑なモデルと同様の精度でした。

歩行速度が生存を予測する理由

歩行は、心臓、肺、循環系、神経系、筋骨格系など複数の臓器系に影響を与えます。歩行速度の低下はこれらの臓器系の機能低下を反映している可能性があります。また、身体活動の減少や脱調症につながり、これが直接的に健康状態や生存率に影響を与える可能性があります。歩行速度が低下すると、一般的な身体活動も減少し、これがさらに健康を損なう悪循環に陥ることがあります​​。

臨床においての歩行速度の使用方法

  • 予防介入の対象となる高齢者の特定:5年または10年以上生存する可能性が高い高齢者を特定し、長期にわたる利益が期待できる予防介入の対象とすることができます。
  • 早期死亡リスクの高い高齢者の特定歩行速度が特に遅い(0.6 m/s以下)高齢者を特定し、健康と生存に対する変更可能な評価を行います。
  • 健康と機能状態のコミュニケーションツール:歩行速度は、医療提供者が患者の健康状態や機能状態を評価する際の簡単な指標となり得ます。歩行速度の測定は、4メートルの歩行路とストップウォッチを使用して専門スタッフでなくても容易に行えます。このデータは、高齢者の健康と生存の簡単でアクセスしやすい指標として臨床や研究に役立つ可能性があります。

一つの目安として、屋外歩行自立レベルであることが重要と考えられます。また、今回の研究からは歩行速度1.0m/s以上の能力があることがを平均余命を長くするといっていますね。

最後に

高齢者の歩行速度は、単なる運動能力を超えた多くの健康情報を反映しています。この研究は、歩行速度が高齢者の生存率と密接に関連していることを明らかにし、日常の臨床実践においても重要な意味を持つことを示唆しています。