【エビデンス】運動失調に対するリハビリについて

運動失調の症状

動くと手足が震えてうまくいかない症状がみられます。

起立・歩行時に力がうまく入らずふらついてしまう、何かを取ろうと手を伸ばしたり、ものを持つと手が震え出してしまい落としてしまう、言葉を発する時に呂律が回らない、食べ物や飲み物を誤嚥してしまうなどの症状が代表的です。

特に大きくふらつきが出てしまうため、転倒しないように筋肉の使い方や動き方を練習して、バランス・歩行能力を保つ、向上するためのトレーニング・リハビリが必要となります。

運動失調とは、筋力低下や明らかな運動麻痺、あるいは錐体外路障害によらない、運動や姿勢保持などの協調運動の障害のことを表します

協調運動障害とは、随意的な運動の正確さや円滑性が低下してしまった状態を表します。

運動失調には、小脳、脊髄、前庭迷路が原因のものに大きく分けられます。

感覚が低下してしまい震えの様な症状が起こったり、三半規管などの問題によってふらつきが出てしまったりなど、同じ症状でも原因が異なる場合があるため精査が必要になります。

運動失調の検査とは?

Scale for the Assessment anD Rating of Ataxia(SARA)

脊髄小脳変性症や脳血管障害による運動失調の評価の有用性が明らかとなっている。山内康太, et al. “Scale for the Assessment and Rating of Ataxia (SARA) を用いた脳卒中に伴う運動失調重症度評価の有用性について.” 脳卒中 35.6 (2013): 418-424.

検査項目が少なく慣れると約5分程度で実施可能だが、
検査者間信頼性や妥当性も確認されている検査である。佐藤和則, et al. “原著 新しい小脳性運動失調の重症度評価スケール Scale for the Assessment and Rating of Ataxia (SARA) 日本語版の信頼性に関する検討.” Brain and nerve 61.5 (2009): 591-595.

運動失調のリハビリに対するエビデンスは確立されていないため、病態に基づくリハビリが行われることになりますが、可能な限り、RCTなどの臨床研究に基づいて、臨床自己決定を行うことが好ましいと考えられます。

運動失調に対するリハビリとは?

トレーニングの原則として、簡単な動作から徐々に複雑な動作に、低負荷から高負荷へと段階的にレベルアップしていく必要があります。

そのために身体の中枢部から手足などの末梢側へコントロールしていくようなプログラムを進めていくことが多いです。

新しい動作の際には、手足が震えてしまったり、身体がぐらついてしまうことがあります。

必要な筋肉の活動、姿勢を知って、しっかりと前もって整えることで震えを抑えたり、動きやすくなったりすることがあります。

ご本人さんが、「これなら動ける」といった経験をたくさんして、それを反復することがとても重要になります。

ただ、漠然と難しい動きを繰り返す、できない動きを繰り返すだけでは逆に動きが悪くなってしまうこともあるため、適切な課題のなかで練習を行い、動きやすい、これなら動けるというのを体感して動いていくためのトレーニングを行っていきます。

そして、加えて「運動失調の改善によって生活は本当に変わるのか?」はとても大事なことです。

そのために上記で述べた運動失調の検査であるSARAをアウトカムとして活用することが大事です。

なぜなら、筋力が良くなったから動作が改善したのか、運動失調が改善したから動作が改善したのかで大きく意味合いが異なるからです。

運動失調の改善のためのリハビリとは?(SARAがアウトカムとした研究)

現時点で運動失調に対するリハビリは、運動麻痺のように明らかになっていませんが、
SARAを改善するといった報告から推奨されるのは「歩行練習」になってくるかと思います。

トレッドミルでの歩行練習がSARAのスコアを改善したという報告

A Comparative Study of Conventional Physiotherapy versus Robot-Assisted Gait Training Associated to Physiotherapy in Individuals with Ataxia after Stroke
To assess the influence of RAGT on balance, coordination, and functional independence in activities of daily living of chronic stroke survivors with ataxia at ...

病態を理解した上で、介入することに加えてSARAというアウトカムの改善を報告したリハビリメニューも検討するべきであると考えられます。

運動失調改善のためのリハビリとは?(SARA以外のアウトカム)

集中的運動トレーニングが運動失調を改善したという報告

Intensive coordinative training improves motor performance in degenerative cerebellar disease - PubMed
This study provides Class III evidence that coordinative training improves motor performance and reduces ataxia symptoms in patients with progressive cerebellar...

臨床運動失調評価尺度(clinical ataxia rating scale)
個々の目標達成(individual goal scores)
定量的運動解析(quantitative movement analysis)

といったアウトカムが改善したという報告がされています。

また、

運動失調に対するリハビリをまとめた報告では3つの方法が検討されています。

Update on intensive motor training in spinocerebellar ataxia: time to move a step forward?
Some evidence suggests that high-intensity motor training slows down the severity of spinocerebellar ataxia. However, whether all patients might benefit from th...

【理学療法と運動療法】
代償的な機能と残存機能能力に依存しますが、基本動作(寝返り〜立位)までを、エラーなく練習することで運動失調をはじめとした機能が改善したという報告。

【VRゲームを使ったエクササイズ】
卓球などのスマッシュを行う動作が含まれたゲームを子供10名に対して行われた研究では、治療後の結果は、姿勢、バランス、歩行、協調に関するSARAの項目で改善が見られた。
しかし重症度の高い方ではなく、自分で歩行可能な能力を持った対象者であったため重症度の高い方にも適応できるかは不明である。

【ピラティスなどを用いた姿勢練習】
不安定な姿勢反応の「再学習」および日常生活動作の障害 (例、椅子から立ち上がる、保持および保持) に基づいています。治療アプローチでは、ポダリック受容体と視覚受容体の刺激、および治療戦略のカスタマイズを考慮に入れる必要があります。
一部のエクササイズは実際に筋力とバランスを改善するように設計した練習が好ましい。

【複合的なトレーニング】
トレーニング セッションには、次のフェーズが含まれます。
1) ウォーミングアップ
2) 適度な強度の有酸素運動;
3) 筋力トレーニング
(例: 各筋肉グループごとに 10 回の一連のエクササイズの繰り返し) および四肢の可動性 (例: ストレッチ)
 4) 静脈還流とエネルギー回復を改善するためのクールダウン運動。

こういった練習を行うことが現状好ましいとされています。

まとめ

運動失調に対するリハビリとして現状では、基本動作練習を繰り返し行うことに加えて「トレッドミルを使った歩行練習」が有効な可能性があります。

基本動作練習の中でも、姿勢の立ち直りなどが難しいといった状態を考慮し、広い支持基底面から狭い支持基底面へと移っていくことが好ましいとされます。

その動作の練習の中で、セラピストは機能低下を起こしている筋肉やパターンに対して介入をしつつ進めていくことが重要です。

力はあるけど、動けない、動こうとすると転びそうになってしまう、そのような症状でお悩みの方は専門家の方と一緒に適切な練習を行うことをお勧めしています。

また、あくてぃぶでも失調症状を呈している方に対しても、
パーソナルリハビリを提供していますので、ぜひご活用いただけますと幸いです。

ご相談、お問い合わせは随時受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。