力が抜けない!なんで?

今回は、脳梗塞や脳出血など中枢神経と呼ばれる脳ー脊髄がダメージを受けた後に、手足が自分の意思と反して硬くなってしまう現象についてです。

なぜ脳卒中後に筋肉が硬くなり過ぎてしまうのか

なぜ筋肉が脳卒中後には硬くなりすぎる現象が起こってしまうのでしょうか。

考えられる原因は2つあります。

  1.  脳から脊髄への抑制が外れてしまっている
  2.  筋肉そのものが硬くなる

この2つが大きく考えられます。

つまるところ、この2つをなんとかすれば筋肉が硬くなりすぎるという現象は良い方向に向かっていくのでは、と考えられます。

脳から脊髄への抑制が外れている

一体どういう意味なのでしょうか。

膝のお皿の下にある腱を叩くと、足が勝手に伸びる!といった現象をご存知ではないでしょうか。

小学生ぐらいの時に、おそらくみなさんやったことがあると思います。

身体の決まったスジを叩くと勝手に筋肉がピクッと反応しちゃう現象なんですね。

これって、筋肉が伸ばされたぞ!という感覚が脊髄に入り、筋肉が伸ばされて千切れないように縮め!と脊髄が筋肉に指令をだす仕組みとなっています。

でも、毎回動くたびに筋肉が伸ばされたら筋肉が縮んでしまう、なんてことになったら身動きが取れないわけです。

動く前に私たちは、今から行う動きは、これくらいなら筋肉が伸ばされるはずだな!と予測して、脊髄に反応するなよ!と指令を出しておくといわれています。

では動く際にどうやって動くか、決めて筋肉に指令を出すのはどこでしょうか?

脳ですね。

つまり脳卒中後に起こってくる異常な制御できない筋肉の硬さの原因は、

脳が今から行う動きや姿勢ではこれくらい筋肉が伸びるはずだ!ということを理解できていない、または、理解しているけど脊髄まで指令を出す神経が働いていないことが原因の一つだと考えることができます。

筋肉そのものが硬くなる

そして、もう一つの原因として筋肉そのものが硬くなったり短くなったりする場合です。

筋肉は性質上、伸び縮みを自分の意思で行うことができるものです。

そしてその伸び縮みをすることによって、筋肉を硬くしたり、逆に柔らかくしたりとコントロールすることができるものになります。

自分の意思で動かせなくなってしまった筋は、血流が低下したり、コラーゲンやエラスチンといわれる筋肉の成分が固まってしまい、結果として硬くなってしまったり、短くなってしまいます。

筋肉は伸びたら縮む性質があり、それは筋肉がちぎれたり傷ついたりしないようにするためのものです。

筋肉が硬くなり、短くなった状態は、筋肉が少し引っ張られただけでも痛い!と感じたり、千切れそう!と感じてしまいぎゅっと力が入ってしまうといった状態になります。

これが筋肉が硬くなってしまうもう一つの原因だと考えることができるわけですね。

じゃあ、どうすればいいの?

この、神経の問題と筋肉自体の問題の2つが合わさって、身体の動きにくさに繋がっている場合が多いです。

その状態では、自分で動くことは難しく、またそれが通常の状態であると脳が認識してしまい間違った動きのクセが出来上がってしまうことで「動けない」「動くのがしんどい」などの状態に陥ってしまいます。

どうすればいいのでしょうか。

それは、

  1.  筋肉や皮膚そのものの硬さをとる
  2.  身体の骨の位置を調整する
  3.  正しい動きをイメージする
  4.  力を抜けるポイントを探す
  5.  実際に動く

この手順を踏んでいくことが大事です。

筋肉や皮膚の硬さをとる

筋肉や皮膚の硬さをとるためには、2つ方法があります。

それは、

  •  マッサージやストレッチといった外からの刺激
  •  自分で筋肉を伸び縮みさせるといった内からの刺激

この2つを両方行わなければいけません。筋肉がただの粘土であれば、マッサージなど外からの刺激で柔らかくなりますが、実際には脳からの指令があって筋肉の硬さは変化します。つまり自ら筋肉を伸び縮みさせなければいけないというわけです。

ストレッチやマッサージは筋肉が硬くなってしまう現象の「痙縮」には、エビデンス(根拠)が乏しいといわれています。

しかし、活用方法によっては非常に有効なのですが、マッサージそのものに麻痺の改善を目指していけるような効果はありませんので注意が必要です。

身体の骨の位置を調整する

身体の骨の位置を調整する、というと少し胡散臭いですね笑

正確には、動く際に一番良い姿勢をつくるということです。

筋肉が硬くなったり短くなっていることで、姿勢は悪い状態になってしまいますよね。

その状態で動いても本来の動きには程遠いと思います。ですので、筋肉がしっかりと働きやすい姿勢を作り、動く準備をしていくことが次の段階で必要になってきます!

正しい動きをイメージする

良い筋肉、良い姿勢が作れたら、次はイメージがしっかりできるようにしましょう。

どんな動きをなんのために行うのか…、その時には対象となるものは、どれくらいの重さがあるのかな、とかをイメージするんですね。

今までは筋肉が硬くなったり、姿勢が悪かったりして、動きたいと思っても効率が悪い、変な動きになってしまっていることも多いのではないでしょうか。そこから一回動きやすい姿勢をしっかりと作り出したわけです。

その状態で、次にどうやって動くかをしっかりとイメージすることってとても大事なんですね。

力を抜けるポイントを探す

イメージができても実際に動こうとすると、今までの身体の動きのクセが染み付いてしまっているため、変なところに力が入ってしまったり、うまく動かせなかったりすると思います。

その状態で今までは無理に動いてきたのではないでしょうか。

頑張ることはとても大事ですが、「楽に動けるポイント」「力を抜けるポイント」を見つけることがとても大事なんですね。

この動きでは、筋肉や動きがこわばっちゃうなと気づくところからスタートになります。

なかなか一人で気付くのは難しいかもしれません。そこでリハビリを行うセラピストと一緒に動きやすいポイントを見つけることが非常に大事なんですね。しかし、実際に動くのは本人が考え、動かさなければならないので、セラピストがいなくても動けるポイントをしっかり見つけて、「楽に動くコツ」を見つけていきましょう。

実際に動く

最後は、実際に動くことが大事です。

マッサージやストレッチして、筋肉を伸び縮みさせて、姿勢を直して、イメージしてこうしたら楽に動けるんだ!となったら最後、自分で自ら主体的に動いていくことが大事です。

リハビリは自分で行うものです。決して誰かがいなければ行えないものではありません。

そして、自ら動きやすいポイントを見つけていけるようになり、生活の中で手や足が使えるようになってきたら、そこがセラピストと一緒に行うリハビリのゴールとなります。

自分で気づけるように、動きたくなるようにサポートするのがセラピストである私たちの役割ですので、ぜひ一緒に頑張っていきましょう!