今回は3つの姿勢制御についてわかりやすく解説していきたいと思います。

まず「姿勢制御」とは、『空間での身体位置を制御する能力』と定義されており、

定位:運動課題に関与する複数の体節間同士の関係、および身体と環境との関係を適切に維持する能力

安定性はバランスとも呼ばれ、支持基底面(BOS:base of support)身体質量中心(COM:center of mass)を制御する能力

の2つからなるとされています。

どのような運動課題でも定位と安定性は必要とされ、運動課題に応じて必要割合を調整しながら運動を可能としている。

簡単に言うと、転ばないようにするためです!!

その姿勢制御には、大きく3つの機構(予期機構・予測機構・応答機構)から構成されていると言われています。

Huxham FE, Goldie PA, Patla AE. Theoretical considerations in balance assessment. Aust J Physiother. 2001;47(2):89-100.

(全体像を載せておきます)

例えば 、歩行中に障害物を発見したとき、「横を通って回避するのか」「またいで回避するのか」を予測機構が働き、行動計画を即座に立てることができます。

視覚情報に基づき外界の環境を過去の経験に基づき運動戦略を決定するバランス制御です。これを『予期的姿勢制御』と呼んでいます。

TUGにて、健常者では3m先のコーンに対してスピードがあまり減速しないよう膨らんで曲がりますが、

認知症の方は直線的にコーンに向かっていきコーンに気づいてからその場しのぎの様子で曲がっていくことがあります。予期機構が十分に働かず、転倒につながることがあります。

また、障害物をまたいで回避する場合、「下肢をどのぐらい上げるのか」「バランスを崩さないようにどう姿勢調整するのか」を姿勢と平衡の維持のために予測機構が働きます。

Timed Up & Go Test:肘掛のついた椅子に腰かけた状態から立ち上がり、心地よい早さで歩き、3m先のコーン折り返してから再び着座するまでの時間や様子を評価する

これを『予測的姿勢制御(anticipatory postural adjustments:APAs)』と呼んでいます。

動作に先立って姿勢を調整するため、フィードフォワード制御となります。姿勢制御の勉強をすると必ずでてくるところです。詳細は後ほど説明します。

さらに障害物をまたぐも、予想以上に大きく足部が障害物にあたり転びそうになる状況に対して応答機構が働き、転ばないように足を踏みなおすことが起こります。これを『反応的姿勢制御(compensatory postural adjustments:CPA)』と呼んでいます。姿勢が崩れた後に安定した姿勢に戻すように調整するため、フィードバック制御となります。

『足関節戦略』『股関節戦略』『踏み出し(ステッピング)戦略』がこれにあたります。

予測的姿勢制御って何?

予測姿勢制御とは、意図的運動に先行して無意識に行われる姿勢制御として定義されています。

意図的な運動の前にAPAsが働かないと・・・

となって、手をあげることどころか転んでしまうことになります。

そこで・・・

代表的な研究で、一側上肢挙上の動作開始時に主動作筋である三角筋に先行して、同側のハムストリングスと大殿筋・対側の脊柱起立筋などが姿勢安定化のために、姿勢調節として働くとされています。

そのため姿勢を保持しながら手を挙げることが可能になります。

歩行開始時にも予測姿勢制御は働くも、その説明は・・・

\ こちらをぜひ読んでください! /

まとめ

以上、3つの姿勢制御(予期的姿勢制御・予測的姿勢制御・反応的姿勢制御)について解説しました。

また、3つの機構のどの相に姿勢制御の問題があるのか考えていく必要があります。

バランスの評価はBBS、FRT、TUG、BESTestなど様々ありますが、点数だけでなく、その評価のも持つ性質や目的があり、どの機構を評価しているのかどこで問題を生じるのかを考える必要があります。

上記に示した『BESTest』は
Horakらが開発しすべての側面を評価できる評価方法です。しかしながら、評価に時間がかかり(30~40分)、臨床ではなかなか使いづらいところです。そのため『Mini-BESTest』という15分程度で評価できる評価方法もありますので、是非一度参考にしてみてください。

今回は3つの姿勢制御について、少しでも皆さんの学びになれば嬉しいです!

最後までありがとうございました!