脳卒中という病気

なぜ脳卒中というのでしょうか。

それは「突然(卒)」「当たって(中)」倒れるという意味です。脳卒中は、突然倒れる脳の病気という意味になります。

脳卒中は、「虚血性(血が回らなくなる)」と「出血性(脳の動脈が裂け脳内で出血する)」の2つに分けられます。

それぞれ原因によって、病態が異なるというわけです。

  • 虚血性・・・脳梗塞
  • 出血性・・・脳出血、くも膜下出血

脳卒中は死因の現在4位(令和元年「厚生労働省調べ」)

脳卒中はかつて死因の1位でした。

現在では、悪性新生物、心疾患、老衰についで第4位です。

治療法の進歩や血圧管理、脳画像技術の向上により以前に比べ、死亡率は減ってきています。

しかしながら、高齢化に伴い今後増加が予測されています。

脳卒中の人口動態

脳卒中は要介護の第2位の原因

脳卒中は、介護が必要となった原因の第2位といわれています。

全体の約20%弱を占めているのです。

また脳卒中後に、高次脳機能障害や認知機能の低下を呈する場合があります。

つまり脳の何らかの問題により、介護が必要になってしまう方が多いといえます。

脳卒中の危険因子は・・・?

脳卒中を発症するリスクの高い人は、基礎疾患がある場合です。

※基礎疾患とは、高血圧症・糖尿病・脂質異常症・心房細動などをいいます。

これらは生活習慣病と呼ばれており、喫煙・大量飲酒・肥満・運動不足が引きがねに起こることが多いといわれています。

なぜ基礎疾患があると脳卒中の発症リスクが高まるのでしょうか。

それは、高血圧につながるためです。脳卒中は脳の血管に動脈硬化や動脈瘤が発生して起こる場合がほとんどです。

脳内の血圧はある程度、自動的に管理されていますが、血管が硬くなってしまったりボロボロになり、柔軟性が低下することによって血圧が上がってしまいます。

※血圧とは・・・血管壁にかかる圧を調べたもの

結果として、血管内壁に圧がかかり続け、プラークという脂肪の塊が詰まったり、脆く細い血管から破れて出血してしまったりするといわれています。

運動習慣をつけることや、生活習慣をコントロールすることは発症予防のみならず、再発予防にもつながるため、継続して運動を続けていく必要があります。

脳卒中を疑う症状とは?

これを見たらまず脳卒中を考える症状についてです。

脳卒中が起こった時にみられる代表的な症状は・・・

  1. 運動麻痺(片側の手足が動かない)
  2. 感覚障害(片側のしびれや感覚の鈍さ)
  3. 構音障害(言葉がでにくい、呂律が回らない)
  4. 高次脳機能障害(失語:言葉が出ない、失認:ものの使い方がわからない)
  5. その他(頭痛、意識消失、半分が見えにくいなどの視野障害、吐き気や嘔吐、制御できないめまい)

といわれています。

これらの症状が、朝方や暖かい所から寒い環境に移動した際(ヒートショック)に起こりやすいといわれています。

脳卒中は、いかに早く治療を開始するかで大きく予後(その先の重症度)に関与するといわれており、できるだけ早く医療機関にかかることが最も大事であるといわれています。

現在では、発症後に

  • 血管内治療(血栓回収)…詰まった血の塊を血管カテーテルで回収することで虚血を抑える
  • 血栓溶解術(tーPA)…特殊な薬剤で血栓を溶かす、発症から4時間以内であれば適応(脳卒中ガイドラインより)

治療方針は入院先の病院医師と相談して決めていくと思いますが、

とにかく早く医療機関へ駆け込むことが、もっとも大事なことです。

脳卒中の種類によって、よく見られる症状が違います!

脳卒中では、病気の種類によってあらわれやすい症状があるといわれています。

脳卒中データバンクに登録された発症一週間いないの入院患者45030名に対する解析

  •  脳梗塞・・・片麻痺構音障害、失語、意識障害
  •  脳出血・・・片麻痺、構音障害、失語(少ない)、意識障害、頭痛、吐き気、嘔吐
  •  くも膜下出血・・・意識障害頭痛(後頭部をバットで殴られたような鈍痛)吐き気、嘔吐

手足の動かしにくさや喋りにくさに加えて、その他の症状も知っておくことで、「もしかしたら」に気づけるかもしれません。

脳卒中はFAST

脳卒中はとにかく早く、つまりFAST(迅速に)が合言葉になります。

FAST
  1. Face:顔に麻痺はないか
  2. Arm:腕に麻痺はないか
  3. Speech:口に異常はないか
  4. Time:いつ症状に気づいたのか

上記にも記載しましたが、脳卒中治療は「時間との勝負」になるといわれています。

明らかに異常を感じた場合、我慢せず必ず医療機関に駆けつけるようにしてください。

最近の脳卒中の兆候キーワードは BE-FAST!?

FASTに加えて、Balance(バランス)、Eye(視覚)も同時に覚えておくことで、脳卒中患者の見逃しを14%から4.4%まで下がるといわれています。

BE-FAST

脳梗塞や脳出血などの脳卒中には、正しい知識によって対処できる場合があります。

また、発症後の救命だけでなく、その後の健康寿命においても大きく影響してくる可能性が考えられます。

正しい知識で正しい対処を!

まとめ

病気に対する知識を持っておくことで、理解につながります。

原因を特定することは医療機関にて、最大限行っていただけますが、その後の再発リスク管理などはご自身やご家族の理解が必要不可欠です。

運動療法や薬物療法(降圧剤や血糖コントロール)、食事療法などをしっかり正しい知識で行っていくことで、再発予防や発症リスクを最大限予防していきましょう。