脳卒中後に麻痺側の足が外へ回るぶん回し歩行は、単なる癖ではありません。結論から言えば、遊脚期に足先が床へ当たらないようにするため、膝屈曲不足、足関節背屈不足、伸展共同運動、骨盤挙上などが組み合わさって生じる代償です。
ぶん回し歩行を変えたい場合、外へ回さないように意識するだけでは十分ではありません。足先のクリアランスをどの関節で作れていないのかを評価し、原因に合わせて練習条件を変える必要があります。

まず結論:ぶん回し歩行はクリアランス不足から起こります
歩行の遊脚期では、足先が床に当たらないように十分なすき間を作る必要があります。通常は膝が曲がり、足首が背屈し、足先が床から離れます。
脳卒中後に膝が曲がりにくい、足首が上がりにくい、伸展共同運動が強い場合、足先が床に近づきます。その結果、身体は骨盤を引き上げたり、股関節を外へ開いたりして、外回りの軌道で足を前へ出そうとします。
評価は遊脚期の足先で見ます
ぶん回し歩行の評価では、つま先の高さ、膝の曲がり、骨盤挙上、股関節外転を確認します。後方から見ると外へ回る軌道が分かりやすく、側方から見ると膝屈曲や足背屈の不足が見えやすくなります。
重要なのは、外へ回っている量と、足先の高さを一緒に見ることです。外回りが大きくても足先が安全に上がっていない場合、転倒リスクは残ります。

介入は足先を上げる条件から作ります
ぶん回し歩行に対しては、膝屈曲を引き出す、足背屈を補助する、骨盤挙上を減らす、歩行の中で反復するという流れで考えます。足首の背屈が弱い場合は、AFOや電気刺激を併用して足先のクリアランスを確保することがあります。
膝屈曲が不足している場合は、立脚終期から遊脚初期への切り替え、股関節屈曲、足部の蹴り出し条件を評価します。骨盤挙上が強い場合は、それが必要な代償なのか、減らしても安全に足を出せるのかを確認します。

再評価では代償が減ったかを確認します
練習後は、足先の高さ、外へ回る幅、歩行速度、つまずき不安を確認します。外回りが減っても、足先が床に近くなったり、速度が大きく落ちたりする場合は、条件を見直します。
代償を減らすことだけが目的ではありません。安全性、歩行効率、本人の安心感を含めて、歩行全体として良い方向に変わっているかを再評価します。

まとめ
ぶん回し歩行は、遊脚期のクリアランス不足に対する代償として起こります。膝屈曲不足、足関節背屈不足、伸展共同運動、骨盤挙上、股関節外転を分けて見れば、練習の方向性が明確になります。
足が外へ回る歩き方で悩んでいる場合は、癖として片づけず、どの関節で足先を上げられていないのかを確認してください。
参考文献
- Olney SJ, Richards C. Hemiparetic gait following stroke. Part I: Characteristics. Gait Posture. 1996. PubMed検索: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=Olney+Richards+Hemiparetic+gait+following+stroke+1996
- Roche N, et al. Effect of chemodenervation of the rectus femoris muscle in adults with a stiff knee gait due to spastic paresis: a systematic review. 2014. PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24309072/

