こんにちは!!Activeの中村です!

高齢者の歩行速度を改善する方法の一つとして、トレッドミル歩行が挙げられています。今回はその文献の内容をお伝えできればと思います。

今回の文献

Pereira NM, Araya MJPM, Scheicher ME. Effectiveness of a Treadmill Training Programme in Improving the Postural Balance on Institutionalized Older Adults. J Aging Res. 2020 Jan 30;2020:4980618. 

研究の背景

高齢者のQOLを維持・向上させるための一つとして、歩行能力の維持・改善があります。高齢者は歩行やバランスの問題を抱えることが多く見受けられます。今回、トレッドミルを用いた歩行トレーニングが、高齢者の歩行能力にどのような影響を与えるかを検証しました。

研究方法

今回の研究は、60歳以上の高齢者を対象に行われました。参加者は週2回、各20分間のトレッドミル歩行トレーニングを10週間、実施しました。測定項目は、Short Physical Performance Battery(SPPB)、Berg Balance Scale(BBS)、Timed Up and Go Test(TUG)、10m歩行テストでの歩行速度でした。

トレッドミルの速度の設定について、10m歩行テストで得られた速度の50%の速さで1分間歩き、その後、参加者が通常より速く歩いていると感じるまでトレッドミルの速度を徐々に上げ、通常より遅く歩いていると感じるまで速度を下げる、というプロセスを4回繰り返しその平均で速度が決定された​。また、トレッドミルの速度を再調整することを考慮して10m歩行テストを2 週間ごとに再評価した。

結果

評価項目トレーニング前トレーニング後1ヶ月フォローアップ後
SPPBスコア8.26 ± 2.9110.43 ± 2.17 10.43 ± 2.17 
BBSスコア48.87 ± 8.4952.13 ± 5.28 51.91 ± 5.58 
TUG (s)14.04 ± 6.3611.36 ± 4.73 11.65±5.09 
歩行速度 (m/s)0.86 ± 0.271.07 ± 0.30 1.03±0.29 

※ (p < 0.001)

上記の表から、トレッドミルを用いた歩行トレーニングが高齢者のSPPBスコア、BBSスコア、TUGの時間、そして特に歩行速度が改善されました。また、トレーニング終了から1ヶ月後のフォローアップでも、すべての項目がトレーニング後とほぼ変わらず、トレーニング前と比較しても有意差があり、改善された状態を維持していることが示されました。

結論

トレッドミルを用いたある一定の速度を保った歩行トレーニングは、高齢者の歩行速度を含む全体的な運動機能に肯定的な効果をもたらします。この研究は、高齢者の歩行能力向上に新たなアプローチを提供し、生活の質を向上させる可能性を示唆しています。高齢者の自立と活動的な生活を支援するために、このような運動プログラムの積極的な導入が期待されます。

まとめ

高齢者の歩行速度改善に、トレッドミルを用いたある一定の速度を保った歩行トレーニングは有効であることが分かりました。その他、レジスタンストレーニング、バランス訓練、課題指向の運動学習なども、高齢者の歩行速度を向上させるのに効果的とされており、これらの介入は身体機能のさまざまな側面をターゲットにしており、歩行速度と全体的な可動性の大幅な改善につながる可能性があるとされています。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!