こんにちは。
いつも見ていただきありがとうございます。
手が上がりにくい、足が上がりにくい、という状況結構ありませんか?
例えばこちら
最初は上がらない手が、腰を起こしただけで上がりやすくなっています。
なぜなんでしょう?
やってみよう! ご自身でも、特に腰のあたりにある”骨盤”を後ろに倒して、姿勢を悪くした仙骨座りという状態で手を上げた時と、 骨盤を前に起こした状態で姿勢が良い状態で手を挙げると、重さや上がり幅が違うと思いますよ!
なぜ姿勢と手が関係しているのか?
筋肉の面から見ても、
腰椎・骨盤の後傾は背中にある胸腰筋膜を伸張させ、結果としてそこに付随する広背筋を伸張させると考えられます。
すると、広背筋の作用である「肩関節の伸展・内旋」作用が働き、肩関節の屈曲動作に必要以上に拮抗することが考えられます。
また骨格のアライメントの関係から、鎖骨や肩甲骨の動きは胸椎の過屈曲では制限されると考えられます。
肩関節は、狭義の肩関節は肩甲上腕関節を指すが,広義には 滑膜関節である胸鎖関節,肩鎖関節,肩甲上腕関節 と,機能的関節である肩峰下関節(第 2 肩関節), 肩甲胸郭関節の 5 つの関節から成り立っている。
藤澤宏幸. 肩関節の身体運動学と運動療法. 理学療法の歩み, 2010, 21.1: 14-22.
とされており、どこか一つの働きが破綻しても、正常な肩関節の運動は行えません。
※一部代償的に働くことで一見運動自体は成立することはあります。
特に体幹部に問題が出現すると枝葉の部分である手足が十分に動かせなくなってしまいます。
脳卒中後の全体像を見てみるとこのようになると考えられます。
姿勢制御の障害によって手足の動きに影響が出る?
私たちの手足の動きは、運動コントロールと呼ばれ、主に体から離れた遠位部の運動性と表現されます。
一方体幹の機能は、姿勢コントロールと呼ばれ、中枢部の安定性と表現されます。
脳卒中後には、運動麻痺と呼ばれる手足を思うように動かせなくなってしまう、全てが同時に動いてしまうなどの現象が出現します。
手足の動きは、運動麻痺による遠位部のコントロールの問題だけでなく、その背景にある姿勢コントロールがしっかりと安定性を作り出しているからこそ成立します。
イメージ的にはこんな感じ。
脳卒中後に姿勢コントロールがうまくできなくなる理由
一つの要因として、安定性を作り出す神経系がうまく働かないことにあります。
本来は、体幹・近位筋を両側性に支配し、姿勢保持やバランスの保持に関与する腹内側系が、随意運動に先立って、転ばぬ先の杖として姿勢コントロールを行なっていると考えられています。
これは予測的姿勢制御と呼ばれるもので、
上肢で壁についたレバーを引っ張る際には、肘の屈曲という随意運動に先行して、下腿三頭筋が前もって働き、体が後ろに倒れるのを予測して先手を打って重心を前にもっていっておくような活動を行なっているとされています。
これはとても重要なことで、随意運動の前に、体がどうなるか?を前もって予測できる能力があるかないかで、運動性を作り出せるかが決まってきます。
基本の土台として、下肢や体幹・肩甲帯の安定性が作り出せているから、枝葉である手足の運動性が作り出せるんですね。
手を動かす際には、下肢をはじめ上肢以外がしっかりとコントロールできているからこそ、上肢が思うように動かせます。
もしも安定性を作り出せていなかったら、上肢で代わりに安定性を作り出そうと柵につかまったり、緊張を高めてなんとかしようとしてしまいます。
例えば平均台の上などを歩くと、手全体がこわばる、不安定な場所では手に汗を握る(緊張する)といった具合ですね。
手足の動かしにくさには、まずは体幹や近位部の安定性が大事
特に骨盤がしっかりと直立に持っていけるか?は重要です。
その時に重要なポイントは、骨盤と体幹をつなぐ、腸腰筋と協働する多裂筋の働きです。
多裂筋や腸腰筋がしっかり働き、骨盤を起こせるようになると、そのほかの筋も付随して働くことができるようになることも多いです。
自主トレの方法は?
座ってできる簡単な自主トレ方法を二つご紹介します。
一つがこちら、手をテーブルなどに乗せて、”おへそを前に突き出すように”体を起こす練習です。
ポイントはおへそです。
一度体を丸めて、体を起こす練習を繰り返すことでより動きが強調されてわかりやすくなります。
もう一つは側方へのリーチ動作です。
テーブルや手すりなどにお尻を軽く預けた状態で、片方ずつ手を体の横に向かっての伸ばしていきます。
転倒のリスクがある練習になりますので、ご家族のかたがそばにいる状態行うことを推奨します。
必ず安定した場所で行うようにしましょう!
簡単ではありましたが、脳卒中後の手足の動かしにくさ、について解説していきました。
手足の動かしにくさは、手足の問題だけでなく体幹などの安定性も十二分に関わってくる部分になりますので、全体を見たリハビリが必要になります。
最後まで読んでいただきありがとうございました!