脳梗塞とは
脳梗塞とは、脳の血管が詰まってしまい、脳の一部に血液が送られなくなり、脳細胞が壊死してしまう病気です。脳卒中と呼ばれることもある病気の1つです。
脳梗塞は、脳卒中の約80%を占める最も一般的な病気です。日本では、年間約30万人が脳梗塞を発症し、そのうち約10万人が死亡すると推定されています。
脳梗塞は、急性期に適切な治療を受けることで、後遺症を軽減したり、回復を早めたりすることができます。そのため、脳梗塞の症状に気づいたら、すぐに救急車を呼んで病院を受診することが大切です。
脳梗塞の原因
脳梗塞の原因は、大きく分けて3つあります。
- アテローム血栓性脳梗塞
アテローム血栓性脳梗塞は、脳の血管の壁にコレステロールなどの脂質が溜まり、血管が狭くなったり、閉塞したりすることで起こります。
- ラクナ梗塞
ラクナ梗塞は、脳の細い血管が詰まることで起こります。
- 心原性脳塞栓症
心原性脳塞栓症は、心臓の病気によってできた血栓が、血流に乗って脳の血管に詰まることで起こります。
脳梗塞の症状
脳梗塞の症状は、脳のどの部分が障害を受けたかによって異なります。
- 顔面の麻痺
- 片側の体の麻痺
- 片側の手足のしびれ
- 言語障害
- 視力障害
- 意識障害
これらの症状が突然現れた場合は、脳梗塞の可能性があります。
脳梗塞の検査
脳梗塞の診断には、以下の検査が行われます。
- CT検査
CT検査は、X線を使って脳の断面画像を撮影する検査です。脳梗塞による出血や梗塞の有無を確認することができます。
- MRI検査
MRI検査は、磁気を使って脳の断面画像を撮影する検査です。CT検査よりも脳の細かい部分まで観察することができます。
- 脳血管造影検査
脳血管造影検査は、カテーテルと呼ばれる細い管を血管から挿入して、脳の血管の様子を撮影する検査です。脳梗塞の原因となっている血管の詰まりや狭窄を確認することができます。
脳梗塞の治療
脳梗塞の治療は、発症してから時間が経っていない急性期と、発症から時間が経っている後期に分けられます。
急性期の治療
急性期の治療は、脳梗塞による脳の損傷を最小限に抑えることを目的としています。
- 血栓溶解療法
血栓溶解療法は、血栓を溶かして血流を再開させる治療です。発症後4.5時間以内に行うと、効果的であると考えられています。
- 血管内治療
血管内治療は、カテーテルを使って血栓を除去したり、血管を拡張したりする治療です。血栓溶解療法が効かない場合に行われます。
後期の治療
後期の治療は、脳梗塞による後遺症を改善することを目的としています。
- リハビリテーション
リハビリテーションは、運動機能や言語機能、認知機能を改善するために行われます。
- 薬物療法
薬物療法は、脳梗塞の再発を予防するために行われます。
脳梗塞の再発予防
脳梗塞の再発率は、発症後1年で10%、5年で35%、10年で50%とされています。
この再発率は、脳梗塞の原因となる危険因子の有無や、発症時の重症度によって異なります。
例えば、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、脳梗塞の再発リスクを高める危険因子です。また、発症時の重症度が高いほど、再発リスクが高くなる傾向があります。
脳梗塞の再発を予防するためには、これらの危険因子をコントロールすることが重要です。また、適切なリハビリテーションを行うことで、麻痺側の機能回復を促し、再発リスクを低減することができます。
脳梗塞の再発率に関する根拠となる論文としては、以下のようなものが挙げられます。
- Kolmos M, Christoffersen L, Kruuse C. Recurrent Ischemic Stroke – A Systematic Review and Meta-Analysis. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2021 Aug;30(8):105935.
この論文では、脳梗塞の再発リスクに関する研究を系統的にレビューし、以下のような結果を得ています。
- 脳梗塞の再発リスクを高める危険因子としては、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、過体重・肥満、アルコール摂取、不規則な生活習慣などが挙げられる。
- 発症時の重症度が高いほど、再発リスクが高くなる傾向がある。
また、この論文では、これらの危険因子をコントロールすることで、脳梗塞の再発リスクを低減できる可能性があることを示しています。
- Sacco RL, Adams R, Albers G, Alberts MJ, Benavente O, Furie K, Goldstein LB, Gorelick P, Halperin J, Harbaugh R, Johnston SC, Katzan I, Kelly-Hayes M, Kenton EJ, Marks M, Schwamm LH, Tomsick T; American Heart Association; American Stroke Association Council on Stroke; Council on Cardiovascular Radiology and Intervention; American Academy of Neurology. Guidelines for prevention of stroke in patients with ischemic stroke or transient ischemic attack: a statement for healthcare professionals from the American Heart Association/American Stroke Association Council on Stroke: co-sponsored by the Council on Cardiovascular Radiology and Intervention: the American Academy of Neurology affirms the value of this guideline. Stroke. 2006 Feb;37(2):577-617. doi: 10.1161/01.STR.0000199147.30016.74. PMID: 16432246.
この論文では、脳梗塞の再発予防に関するガイドラインを発表しています。このガイドラインでは、脳梗塞の再発リスクを高める危険因子をコントロールすること、適切なリハビリテーションを行うことなどを推奨しています。
脳梗塞の予防には、以下のことに気をつけましょう。
- 血圧をコントロールする
高血圧は、脳梗塞の最大のリスク因子です。血圧を正常に保つことで、脳梗塞の再発リスクを減らすことができます。
- コレステロール値をコントロールする
コレステロール値が高いと、血管が詰まりやすくなり、脳梗塞のリスクが高まります。コレステロール値を正常に保つことで、脳梗塞の再発リスクを減らすことができます。
脳梗塞の予防
脳梗塞の予防には、以下のことに気をつけましょう。
- 血圧をコントロールする
高血圧は、脳梗塞の最大のリスク因子です。血圧を正常に保つことで、脳梗塞のリスクを減らすことができます。
- コレステロール値をコントロールする
コレステロール値が高いと、血管が詰まりやすくなり、脳梗塞のリスクが高まります。コレステロール値を正常に保つことで、脳梗塞のリスクを減らすことができます。
- 糖尿病をコントロールする
糖尿病は、脳梗塞のリスク因子です。血糖値を正常に保つことで、脳梗塞のリスクを減らすことができます。
- 禁煙する
喫煙は、脳梗塞のリスクを高めます。禁煙することで、脳梗塞のリスクを減らすことができます。
- 適度な運動をする
適度な運動は、血流を改善し、脳梗塞のリスクを減らすことができます。
- バランスの良い食事を摂る
バランスの良い食事を摂ることで、血圧やコレステロール値を正常に保つことができます。
- 適度な体重を維持する
肥満は、脳梗塞のリスク因子です。適度な体重を維持することで、脳梗塞のリスクを減らすことができます。
これらの予防法を実践することで、脳梗塞のリスクを減らすことができます。また、脳梗塞の家族歴がある場合は、特に注意が必要です。
脳梗塞のまとめ
脳梗塞は、脳の血管が詰まってしまい、脳の一部に血液が送られなくなり、脳細胞が壊死してしまう病気です。脳梗塞は、急性期に適切な治療を受けることで、後遺症を軽減したり、回復を早めたりすることができます。そのため、脳梗塞の症状に気づいたら、すぐに救急車を呼んで病院を受診することが大切です。
脳梗塞の予防には、血圧やコレステロール値をコントロールする、禁煙する、適度な運動をする、バランスの良い食事を摂る、適度な体重を維持するなどのことに気をつけましょう。