こんにちは。

脳梗塞リハビリActive向山店、店長の河合です。

脳は「経験」を覚える:神経可塑性の基本

リハビリは「脳に使い方を教える時間」

リハビリを続けていると、
「本当にこれで良くなっているのかな」
そんな不安がふと浮かぶことがあります。

頑張っていないわけじゃない。
でも、変化が分かりにくい日もある。

それは、決しておかしなことではありません。

実はリハビリは、
筋肉を鍛える時間というより、
脳にもう一度使い方を教える時間です。

脳は、どんな経験をしたかによって、
ゆっくり、でも確実に変わっていきます。

今回は、
脳は経験で変わる」という考え方を
やさしく教えてくれている論文をもとに、
リハビリの意味をお話しします。

脳は「経験」を覚える

今回ご紹介するのは、

脳は使い方を覚え直せる 

脳卒中後のリハビリで起きていること
という研究です。(Kleim&Jones(2008))

この論文では、
脳は、どんな経験をしたかによって変わるということが、整理して説明されています。

難しい言葉で言うと
神経可塑性と呼ばれますが、
ここでは
脳は、使われ方で変わる
と考えてもらえれば十分です。

使わない動きは、少しずつ忘れられてしまう

脳はとても正直です。

使われない動きは、
「今はあまり必要じゃないのかな・・・」
と判断され、
少しずつ使いにくくなっていきます。

だから、
うまくできなくても
使おうとすること自体が大切になります。

脳を変化させる具体的なリハビリの原則

うまくできなくても、意味はある

動かそうとすると、
余計に固くなってしまうことがあります。

でもそれは、
体が悪くなっているわけではありません。

脳が、
「どう動かせばいいのか」
迷っているだけです。

その迷いも、
大切な経験のひとつです。

繰り返すことで、脳は少しずつ覚えていく

1回できたかどうかより、
何度も経験したかどうか。

脳は、繰り返された経験を大切にします。

すぐに結果が出なくても、
繰り返した経験は、
ちゃんと脳に残っています。

「少し難しい」が、ちょうどいい

楽にできる動きは安心ですが、
脳にとっては、
あまり記憶に残りません。

少しだけ集中が必要な動き。
「できるかな?」と思うくらい。

そのくらいが、
脳にとっては
ちょうどいい刺激になります。

生活につながる動きほど、脳は覚えやすい

脳は、
自分の生活に関係のあることほど、
よく覚えます。

歩くこと
立ち上がること
トイレに行くこと

あなたの毎日に必要な動きこそ、
リハビリで大切にしたい動きです。

まとめ

リハビリは、
できない自分を責める時間ではありません。

脳に、もう一度
使い方を思い出してもらう時間です。

うまくいかない日があっても大丈夫。
今日「使おうとした」その経験は、
ちゃんと脳に届いています。今回の内容が日々のリハビリのお役に立てると幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

【参考文献】

Kleim, J. A., & Jones, T. A. (2008).
Principles of experience-dependent neural plasticity: Implications for rehabilitation after brain damage.
Journal of Speech, Language, and Hearing Research, 51(1), S225–S239.