リハビリにおいて、運動学習ってとても重要な考え方なのですが、
運動学習をどうしたら促進できるんだろう・・・?
と考えた時にフィードバックをいつするか?どんなフィードバックをするか?などを考えることがあると思います。
みなさんはこんな疑問ありませんか?
リハビリの中でいいですね!とかちょっと違いますよ!とフィードバックすることがあると思いますが、
結局どんなフィードバックがいいのかわかんない…!!って
ことなったことありませんか?
そこで今回は、
運動学習を助けるフィードバックの頻度、タイミング、基準についてのアイデアを紹介させていただきます!
運動学習とフィードバック
運動学習には、3つの段階モデルがあると考えられています。
- 認知段階
- 連合段階
- 自動段階
となり、自動段階に近づくにつれて運動に対する注意の水準は下がっていく傾向があります。
フィードバックは運動の結果や運動の過程に注意を向けてもらうための補助的な役割がありますが、
運動学習段階に応じて、フィードバックを与えるか、は考えなければならない可能性があるんですね。
とりあえずフィードバックよりもいい方法があったら、知りたくありませんか?
ということでここからはフィードバックの頻度、タイミング、基準について解説していきます。
フィードバックの頻度
ではまずはフィードバックの頻度からです。
みなさんは平均何回くらいのフィードバックを1回のリハビリの中で行っているか知っていますか?
それが、
脳卒中患者のリハビリテーション中にPTが行った指示は、約40分の1セッション中に平均76回、FBは22回行われており、14秒に一回はどちらかが行われている
Johnson L, Burridge JH, Demain SH. Internal and external focus of attention during gait re-education: an observational study of physical therapist practice in stroke rehabilitation. Phys Ther. 2013 Jul;93(7):957-6
どうでしょう?
思った以上に多いな、と感じるかもしれませんが確かにこれくらい行っている気もしますよね。
では実際に頻度については、どれくらいが理想なのでしょうか?
それが、
50%程度のフィードバックが1分後、1日後の学習を促進すると考えられています。
つまり、
毎回フィードバックをするよりも、2回に1回くらいの方が良い、という考え方です。
ただこれも、運動学習初期には比較的多めの頻度でフィードバックを行い、学習が進むにつれて徐々に減らしていくことが好ましい可能性があります。
フィードバックのタイミング
では次はどのタイミングでフィードバックをするか?です。
それは、
Feedbackを加える帯域(1秒ずれたらなど)を決めて幅を持たせてFeedbackしたほうが学習を促進する
といった報告があります。
つまり、成功・失敗に限らず「少し遅らせてフィードバック」が効果的な可能性があります。
何のために遅らせるのか?については、
本人が少し考える時間を作った上でフィードバックが良い、という考え方からです。
実際には、すぐにフィードバックした方が良い場合もありますが、基本的にはリハビリの中で常にフィードバックを与える環境ではなく「自分で考える」というのが運動学習において重要なんですね。
フィードバックの基準
では最後にフィードバックをする上での基準は設けた方がいいのか?についてです。
結論、フィードバックの基準をある程度決めた上で、幅を持たせたフィードバックが運動学習を促進するのではないか?と考えられます。
つまり、とりあえず失敗にはフィードバックではなく、
自身の中である程度の基準を決めた中で、フィードバックを適宜行う、というのが大事です。
まとめ
とりあえずフィードバックが横行しやすいリハビリ場面ですが、
もちろんフィードバックが悪いわけではなく、「とりあえずフィードバック」が悪いんです。
今回の内容を参考にしていただき、
どうやってフィードバックをしようか?を考えた上で、
さらなる運動学習の促進を図っていきましょう!
最後までありがとうございました。
参考文献
Winstein,C.J.: Knowledge of results and motor learning -Implications for physical therapy.Physical Therapy.71(2):140-148,1991
Johnson L, Burridge JH, Demain SH. Internal and external focus of attention during gait re-education: an observational study of physical therapist practice in stroke rehabilitation. Phys Ther. 2013 Jul;93(7):957-66